2011/02/01 23:49:39
こんばんは!
1月中にうpりたいと言っていたお話、ただいまうpります。
お待たせしました!!!
え、待ってないって?サーセン^p^
今回はティムとロディさんのお話です。
読んでやるよ、という心の広いお方は続きを読むからレッツゴー!
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お待たせしました!!!
え、待ってないって?サーセン^p^
今回はティムとロディさんのお話です。
読んでやるよ、という心の広いお方は続きを読むからレッツゴー!
深夜。
街角の、街灯も当らない暗闇に、男が一人。
金髪の中に赤いエクステを交え、顔にはペイント、そしてスーツ姿。
明らかに町を歩く人々とは違う雰囲気を持っている。
その男は、先ほどその街の領主から“任務”を承った。
クエストと呼ぶには難易度も高く、死亡確率も上がるものを、彼は“任務”と呼んでいる。
今回の内容は
“銀狼と呼ばれる男の始末”
ため息を一つこぼして、男は夜の街へ、消えた。
月下の激闘
「あーーー今日も疲れたーーー!!!」
そう言って用心棒の少年・ティムは背伸びをした。
彼はこの時まだクランには所属していない。
師であるエメットから、地方を旅して見聞を広めてこいとの命を受け、現在はとある街に滞在している。
つい先日、ちょっとした騒動を起こしてしまい、そろそろ出発したほうがいいかなと考えていた。
もう一晩泊まって、明日の早朝に街を出よう。そう思い立つ。
「そうと決まれば、買い出し買い出しっ!」
彼は即断即決の行動派である。
すぐさま街へ物資の調達に向かった。
夕方。
一通りの買い物を終えて、宿に戻ってきたティムは、ずっと感じていた違和感に疑問をもっていた。
誰かに、見られている。
「参ったなー。嫌な予感しかしないんだよねー。やだやだ。」
いつもの調子でつぶやいてみたものの、今回は悪寒がする。
嫌な予感が、消えない。
「そうとうな手練れってやつ…?」
愛剣を腰にしっかりと携える。
もう一度長い銀髪を結いなおす。
確かめよう。行くしかない。
ティムは二度目の街へ繰り出した。
どっぷりと日の暮れた街の路地裏。
その謎の人物が出てくるとしたら、こういった人気のない所。
そこそこに栄えた街であるために、路地裏は軽いスラム街と化している。
ティムは大通りに聞こえない程度の声で言う。
「ねぇ!いるんだろ?早く出てきなよ!!」
「よく気付きましたね。さすが“銀狼”…といったところでしょうか」
路地の奥――暗闇から一人の男が現れる。
微笑を浮かべ、スーツのポケットに手を突っ込んでいるその姿からは、余裕の雰囲気が受けてとれる。
「誰かと思えば、すっごい優男が出てきたねー。職業ホスト?」
余裕の男に負けじと、ティムも言い返す。
しかし、今までの何よりも。
ティムが経験した、かの紛争の時よりもずっと。
この男が放つ“殺気”は強力なものだった。
対峙するだけで全身から冷や汗が噴き出る。
手が、足が、怖くもないのに震えだす。
「減らず口を叩く割には、余裕がない表情をしていますよ、“銀狼”くん?」
「武者震いだと、思うんだけど?」
互いの探り合い。
一定の距離を保ったまま、二人は間合いを詰めずに立ち止まったまま。
先に行動に出たのは、ティム。
震える手で腰の刀を引き抜き、両手で構える。
下段に構え、体制を低くし―――男に向かって飛びかかる。
キィン!!!
甲高い金属音が開戦を意味した。
一瞬のうちに男の眼前に迫ったティムだが、彼の攻撃は刃渡り10センチほどのナイフ1本で塞がれてしまう。
激しい鍔迫り合いの最中、男は歯を食いしばるティムの耳元で囁く。
「僕も仕事なんです。…あなたを、暗殺してくれっていう、ね」
「…!!」
ティムが力任せに男のナイフを弾き返す。
暗殺?誰が、どんな理由で?
わけがわからない。
一旦、男から距離を置く。
「そんなに俺、恨まれるようなことやったっけ?」
「依頼主については極秘なもんで。教えられないんですよ。すみませんね。」
そう言いながら、男は連続でナイフを投げる。
刀でナイフを受け流しつつ、隙を伺う。
真っ向勝負は意味を成さない。
力は向こうのほうが上だ。
長期戦では余計押し負けてしまう。
こうなったら、隙を見つけて、大技を打ち込むしか、ない。
ティムは一度、刀を完全に鞘に納めた。
抵抗をやめたことに疑問を感じた男の一瞬の隙を、ティムは見逃さなかった。
大きく、そして、今までよりも早く、男の眼前に迫る。
「奥義―――」
居合のごとく一太刀を浴びせる。
その一撃はナイフによって塞がれてしまうが、そこにもう一太刀。
二撃により、ナイフは男の手を離れ、宙を舞い、後方へ落ちる。
塞ぐものもなくなった男の懐に、最後の一撃。
「―――天雷!!!!!」
ティムの刀から雷撃が迸る。
突きの型で真っ直ぐ男を見据え、心臓を狙った。
しかし。
「…ここまで僕を追い込んだことに、賞賛の意を示しましょう」
男の微笑は消えなかった。
左手にはいつの間にか新しいナイフ。
渾身の突きを塞がれ、そして、逆に弾かれてしまう。
「な……!!」
「今度は、僕の番ですね」
驚愕の表情を顔に貼り付けたまま、たちまちティムは防戦一方になった。
初めて男が間合いを詰め、ナイフの二刀流で素早く切りつけてくる。
ガードの間に合わない連撃。ティムの傷が増える。
服が裂け、切られた腕や顔からは血が噴き出る。
一方、男は無傷。
「チ…クショ…!!!」
「あなたは、強い方でした。残念ですね、もう少し、成長を見てみたかったのですが」
抵抗が弱まってきたティムの腹を、一蹴。
「終わりです」
「……ッ!!!」
血を吐いて、ティムが倒れる。
刀を杖にして立とうとするも、力が入らず、崩れ落ちる。
「ここまで…追い込まれたの、初めて…だな…」
「僕も、ここまで抵抗されたのは初めてです。なんだか、キミに興味が湧いてきました」
「気色悪いこと、言ってんじゃねぇ…!早く殺れ!!!!!」
崩れ落ちたティムの傍らにしゃがみ込んで話続ける男に、ティムは血を吐きながら叫ぶ。
自分は完全に負けた。抵抗なんてもうする気はない。
―――師匠…ごめんなさい―――
ティムは死を覚悟した。
だが、男はナイフをしまい、ティムの額に指をかざす。
「興味湧いたって言ったでしょう?」
「何…する気…?」
「先ほどの素晴らしい奥義を見せていただいたお礼に、僕もあなたにとっておきのプレゼントです」
そう言った途端に、男の指が光る。
「―――テンペスト」
幻術!!!
そう思ったと同時に、ティムの脳内で雷鳴が轟いたかと思うと、落雷。
実際、雷に打たれたかのような衝撃の後、目の前が真っ白に染まる。
―――こいつ、詠唱も魔法陣もなしに打ちやがった。チェーザレさんと同じように―――
「お前…何…者…」
「またお会いしましょう。“銀狼”…ティム君」
ティムは、完全に意識を手放した。
目を覚ましたティムは、見慣れた畳の上で横になっていた。
ああ、ここは俺の家だ。と、顔にかかる髪をかきあげ、上体を起こす。
「俺…生きてる」
「目が覚めたか、ティム」
「師匠?!!な、なんで…?!」
まだ寝てろ、とティムが起き上がるのを制したのは、彼の剣の師である、エメット。
彼の話によると、偶然その街を調査していた王宮の密偵・ノルに発見され、ここに連れ戻してくれたらしい。
受けた傷のほとんどは、運ばれてくるまでの間に、診察もかねて、国王代理を務めるチェーザレの妹・リーアムが治してくれたそうだ。
「師匠…俺、負けた」
顔を覆い、表情を悟られないようにする。
悔しい。
負けただけならまだしも、情けをかけられ、生かされた。
悔しい。悔しい。悔しい。
「悔しかったら…次また会い見える時に勝てるよう、己を磨け。」
弟子の初めて示す感情に、エメットはそう声をかけ、髪を撫でてやった。
言われたティムは、頷いて、師のその手を握った。
今回の出来事をきっかけに、一人では強くなるのにも、戦うことを考えるのにも、未熟であると悟ったティムは、自分からクランへ入ることを決める。
入団したクラン“アルカディア”での生活が慣れたころ、ティムは、宿敵と再会する。
「お、お前…!!!」
「こんにちは。ロディといいます。どうぞよろしく」
再戦は、まだ先の話。
あとがき
ティムvsロディのお話でした。
ちょっと過激なバトルものが書きたくて、その一心で書きなぐってみたり。
まだクランに入っていなくて、世間を知らないティムの成長の物語であると同時に、
謎の男ロディがより一層謎の男となるようなお話にしたかったのです。←
久々の執筆で文章おかしいかもしれませんが、読んでくださってありがとうございました!
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